前回は、ヒンドゥー人が造ったマンダラ図状のグリッドが、一部の街区によって崩れていっている状況をご説明いたしました。そして、その理由を考えるのに、イスラム人が住み始めたことを考慮する必要があるかもしれないとお話いたしました。

それでは、そのことを詳しくみていきましょう。

まず、イスラム人のコスモロジーとはどういうものなのでしょうか。

イスラームには、一つの都市を完結した一つの宇宙と見なす考え方はない。イスラームにおいてもっとも重要な都市はメッカであり、またメディナであり、さらにエルサレムである。メッカを中心とする都市のネットワークが宇宙(世界)を構成すると考えられている。(ムガル都市、布野修司・山根周著、京都大学学術出版会)

特権的なメッカを中心とした都市ネットワークが「世界」(宇宙)だとするコスモロジー。そのコスモロジーの大きさたるや、まさにグローバル(地球規模)。

こうしたイスラムのコスモロジーは、必然的に地球上に広まろうとする力を伴います。

精力的に世界へ広がっていったイスラーム社会では様々な問題・軋轢を生んできました。種々の問題を調停・規制するためのガイドラインが必要となってきます。

イスラームの都市の形は、都市計画的にゾーニングして街区の形を決めるマクロな目線ではなく、実際のところは、隣人間との話し合いで住居の配置を決めるというミクロな視点が規定しているようです。

これが迷路のようで有機的な街の形が生まれる直接的な理由ですね。

しかし、最も本質的な理由は他にあると考えいます。ヒンドゥーのコスモロジーと合わせてみていきましょう。

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